《MUMEI》
できれば笑顔で
なんとか流れに乗りたい東明だが、


赤高のディフェンスを崩せず、


中々シュートが打てない。


少ないシュートチャンスも、村木に止められていた。


スコアは、


4対0となっていた。


「ナイスキー!!」


また止める村木。


しかし、速攻は出せなかった。


「すげ〜な、あのキーパー。また止めたぞ。」


会場も村木の凄さに気付いている。


「1本取りましょ〜。」


椎名からのパス回しだ。


(絶対勝ち上がって、あいつを倒す。)


椎名の頭にあったのは、


聖龍高校の桜井のことだった。


同じセンターとして、椎名は桜井の実力を評価していた。


しかし、だからこそ負けたくない。


ライバル視している者の存在が…


力に変わる。


「見せてやるよ。」


椎名は一言そう呟く。


1対1を仕掛ける椎名。


突っ込むスピード。


そしてフェイントも速い。


ディフェンスが止めに来る。


そのディフェンスを交わした椎名の手に、


ボールはなかった。


(これがポストパスだ。)


ボールは、ポスト沖の手に。


(こいつ、いつの間に!?)


気付いた時には遅かった。


「ナイッシュー!!」


沖のシュートが決まる。


5対0。

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