《MUMEI》

「なあ、親父〜、25日は 休ませてくれよ。」


俺は さっきから 胡瓜を切ってる 九代目の 親父に 頼み込んでる。


ここは 仕出しや「お多福」十代続いた 老舗である。


「クリスマスだあ〜?こちとら おせちの仕込みで てんてこ舞い なんだ!寝言は 寝てから 言いやがれ!」


「だから…半日で いいからさ〜、彼女と約束したんだよ。」


「駄目だ!断っちまいな!」


「う〜くそ親父!」


「てめぇ〜もう一回 言って見やがれ!」


…駄目だ、やっぱり。この時期だもんな〜分かっちゃいたんだけどな。


「あ〜、なんて言おう、アイツに。」


アイツとは 俺の 初めての 彼女 坂田 南 の事である。


因みに 俺は 「お多福」の 十代目〜幡中 重太郎(はたなか じゅうたろう)


もっとも まだ 見習いの身である。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫