《MUMEI》

◆◇◆

 幼い頃、何かにつけて、ああだこうだと彩貴に口出しされるのを、夜桜は心底嫌っていた。

 殊に妖が関わる事になると、尚更であった。

 その度に邸を飛び出しては、路地に迷い込んだ彼女を彩貴が心配して連れ戻しに来たものである。

 手を引かれ夜道を歩くその一時がいつも、夜桜は少しばかり嬉しかった。

 その時だけは、彼の優しい温もりを感じていられたから。

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