《MUMEI》 やがて昼休みも終わり、5限目が始まった。 教科は葵の嫌いな英語。 ふと啓太を見ると、啓太と目が合った。 同時に啓太が立ち上がった。 「先生、保健室行って来ます。」 いきなりの啓太の発言に、教師は少し戸惑った。 そんな事も気にせず、啓太は教室から出て行った。 すぐに葵の携帯に、メールが入る。 啓太 sub:屋上でサボろう(」゜□゜)」 葵と啓太はいつの間にか、サボり仲間になっている。 葵はすぐに立ち上がって、教室を出た。 「樋口!教室に戻りなさい。」 教師が廊下に出て叫ぶ。 葵は無視して、屋上に向かった。 屋上のドアを開けると、フェンスの外に、啓太が居た。 「どうやってそこに行ったの?」 葵も行きたそうに、啓太に尋ねる。 「そこ登って来た。」 そう言って、フェンスを指さす。 葵もすぐに、フェンスを登ろうとすると、啓太が慌てて止めに入った。 「そっちに戻るから待ってて。」 「あたしもそっちに行きたい。」 葵がいじけると、啓太が困った顔をした。 「落ちるなよ?」 そう言うと、啓太は背中を向けた。 「よっ…うわ!」 「どうした!?」 葵の声に反応して、慌てて啓太が振り向いた。 「ちょっ!こっち見るなバカ!」 再び背中を向ける啓太。 ようやくフェンスの外に出ると、何も隔たりの無い街の景色が見れた。 「うわ!すごいねここ!」 葵がはしゃいでいる声を聞いて、ようやく啓太がこっちを見た。 「こっちがもっとすごいよ。」 そう言って、啓太は屋上のドアの裏に歩いて行った。 葵も啓太について行くと、そこには普段屋上から見える街の風景とは違う世界が広がっていた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |