《MUMEI》 二十八夜 心の内に秘めたるは◆◇◆ 「彩貴は‥出掛けたのか」 「うん」 「何かなー」 「月裔と一緒に帝の所に行くって行ってたぞー?」 「帝の‥?」 こくり、と頷き、風牙が続ける。 「だからな、遅くなるかも知れないけど‥酉の刻までには戻れるって」 「そうか‥」 帝の呼び出し、という事が妙に心に引っ掛かったが、夜桜は黙っていた。 (何かを頼まれているのだろうか‥) 邸にいる姫君には、まだ何も分からない。 妖の事でない事を、切に願っていた。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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