《MUMEI》
始まりの場所
世界は数多く、現在判明しているだけでも4つの世界がある。
この物語はエデン(楽園)と呼ばれる世界に住む一人の青年が旅に出ることから始まる・・

当然のようにエデン以外にもヒトと総称される者たちは生活をしている。この世界は安全だが、生活の糧となるものが少なく、他の世界から手に入れたものによって生活している。エデンは平和であるが故に人気が高く、人口の制限をかけなければ維持することができない。
エデン以外にはモンスターが多くおり、危険ではあるが、様々な楽しみもある。この世界では使用できないスキルと呼ばれる魔法が使うことができる事や、冒険によって手に入れたものを売ることによって大金を手にすることもできることがその一部である。
話はエデンから他の世界へ通じるゲートを備え付けた事務所から始まる。
白を基調とした色彩の中、一人の髪を後ろで軽く結んだ青年が机に向かい何かの書類を書いている。
青年の名は狩月。
幾度か他の世界に行ったことはあるが、戦うことのない幼いころのことであり行った目的は観光であった。だが今回は、観光などではなく、一人の成人として異世界へ向かうエデンに住むもの全てが持つ義務を果たしに行くのである。
〔他の世界へ行くための身分登録書〕
書類にはそう書かれている。彼はサラサラと記入箇所を埋めてゆくが・・職業の欄でペンが止まる。
「職か・・何がいいのかな。」
そう呟くと横から一人の黒髪の青年が書類を覗き込んできた、彼の名は瀬木琴(セキ・コト)、今、書類を書いていた狩月の友人である。彼と会ったのはロストグラウンドと呼ばれる世界に旅行に行ったときであった。彼は狩月と同じ年齢だが戦うことが当たり前の世界で生まれ育ったため狩月よりも戦いに慣れていた。ここへ彼が来たのは友人である狩月の戦い方など様々なことを助けるために来たのである。
「お前は俺の前に出るんだから盾になれる剣士やれ!」
「盾?どういう意味だよ」
「俺は遠距離攻撃主体なんだよ。」
「ふ〜ん・・で、なんで俺がお前の盾にならなきゃいけないの?」
意地悪そうに笑いながら琴を見る狩月。
「なんか盾ってのも嫌だし・・・あみだくじで決める!」
「何故に!!」
「まぁなんとなくだよ」
琴は弓使いから転職するマジックアーチャーであるらしいのでパーティを組んだ時のことを考えると前衛職が良いと思い前衛に一応、絞る。
あみだくじの結果、剣士を選んだ。琴が言うには防御を上げるといいらしいが・・鈍重なのは嫌なわけで、素早い剣士になることに決めた。まぁ秘密裏に。
職業の欄に剣士と書き込み事務員に手渡す。
「職業、剣士、転送先、ロストグラウンド、こちらでよろしいのですね?」
と必要事項を確認する事務員にコクっと頷く狩月。
「では、装備品をお渡ししますのでこちらへ。」
事務員に付いていくと倉庫のような場所につく。
「この剣の中から一振り、それとこの盾の中から一つお選びください。お手に取って確かめてくださってかまいませんので。」
そう言いながら十数振りの剣と数個の盾を見せる。
すっと一振りの剣を手に取る。やや重い感じがするので次・・次の剣は軽すぎる・・と確かめながら剣を選び盾も選ぶ。
「そちらでよろしいですか?」
確認の問いに頷き、困ったように、
「どれがイイなんて解らないんですけどね」
と苦笑する。
事務員は少し戸惑ったように布袋を渡す。
「その他の基本装備です。使用法は解りますね?」
「はい。だいたいは解ると思います。」
琴と合流後ゲートのある場所へと移動し転送に備える。
「そんなに構えなくても大丈夫だって」
と笑いながら琴が言う。困ったように狩月は笑う。
「では、転送を開始します。どうかお気をつけて。」
先ほど装備を渡してくれた事務員の声がスピーカーから響く。少し悲しそうな声に聞こえたのは気のせいだろう。
行ってきます、と誰にともなく呟く狩月。
視界が暗転し、しばらく浮遊感が漂う。

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