《MUMEI》 席替え「おい、祐也。大丈夫か? 本当に腹の調子悪かったんだな。 顔色悪いぞ」 「あ、あぁ、大丈夫だよ」 守の言葉に俺は顔を上げた。 「そういえば、田中ってよく個室に籠ってるって友達から聞いたな」 「そんなにしょっちゅう腹壊すなら、席、ドアの近くがいいんじゃないか? よかったら、替わってやるよ」 「真司(しんじ)・拓磨(たくま)」 (守の知り合いか?) 守よりは、体格のいい二人組が俺の席にやってきた。 「お前と同じ東中出身だよ、俺は」 真司がニヤリと笑った。 「俺は、丸北(まるきた)」 拓磨が言った丸北とは、丸山北中学(まるやまきた中学)の事だった。 丸北は、サッカーが強くて有名だった。 (ん?そういえば…女子が『サッカー部のしんじ君もいい』とか言ってたような…) 「もしかして、お前等、皆元サッカー部?」 俺の言葉に三人は頷いた。 「でも、俺は補欠だったけどね」 (あぁ、そんな感じ…) 俺は、守を見て納得したが、『そうなんだ』と答えた。 「…でさ、俺と席替えしない?」 「いいよ」 拓磨の目的が『クイーンの隣』だとわかっていたが、俺は笑顔で頷いた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |