《MUMEI》
改造拒否
「でも、勿体無いね。せっかくだから、…変身してみない?」


(変身?)


せっかく頑張って、普通に変身した俺、を?


「そうよ!改造しましょうよ! ね?」


「いいわねぇ、姉さん以来かしら…」


はしゃぐ津田さんも、嫌だが、嬉しそうなその母親は…


はっきり言って、恐い。


「まずは、髪型よね。特に、その…」


ギクリッ


「前髪!」×3


三人がハモった。


「い、いいっス!」


俺は、前髪を押さえた。


俺の前髪は、目が隠れるほど長かった。


髪型も、はっきり言ってダサい。


「え〜、どうして?」


普通の男ならグラッときそうな甘い声と上目遣いで津田さんが質問してきた。


(わざとだよ!)


とは、言え…





る。


忍が言ってたから。


普通は、お前位の年頃の男は、その顔がコンプレックスになる


ーと。


『可愛い祐也』


旦那様が大好きだった俺の顔は、俺にとっては自慢だったが…


「俺、自分の顔、嫌いなんです!すみません!」


俺は心にも無いことを叫んで、津田親子から逃げ出した。


そして、急いで自転車を取りに行った。

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