《MUMEI》
六月三日 金曜
 今日は角南クンが帰る前にりんクンがバイクでやってきた。合い鍵を持ってるのね。まあ、愛の巣なんだからね。
 そしたら宅急便が来て、りんクンが代わりに受け取った。庭でお水をやってたら部屋から大きな声で、
「なに!これ!」
 何か変なものを受け取ったのかな?・・・ぎひひ、ここでわたいのアンテナはぴんと来たね!今日は旦那は夜勤じゃ!二階にサンドイッチとコーヒーを持って上がって実況中継を聞こう!けけけ!

 六時頃、角南クンが帰った。さて・・・何が始まるかな?

(そ・・・それはHに買ってやったんだ!)
(やっちゃんは恋人披露したばかりじゃないか!あんなにきれいな人にそんなものはかせるの!)
(・・・で、出来心なんだ!お前が着てくれたらなんて考えなかった!お前にそんな格好させないよ!絶対に!)
 なんとまあ、夫婦喧嘩も良いとこだね。相手が美少年というところがわたいみたいな腐女子には堪えられんて。
(じゃ、誰に着せるんだよ!・・・そうか、あの水谷薫とかいう子だね!)
 えっ!何!角南クン、浮気?許せん!りんクン!やっちゃえ!
 どこかへ走り込む音、そして戸をぴしゃりと締める音。何かいやらしい下着を角南クン注文したみたいだね!フリルが付いたパンティかしら?若いっていいわー!
 そのあと音は聞き取れない!くそ!
 サンドイッチを頬張って女物の赤の下着を纏ったりんクンを描いていると、突然、
(ああーっ!大介!大介!)
 角南クン、やるわね!
 そのあとかなりの激しいセックスが続いたようだ。ぬひひ!

 わたいは考えた。あの二人・・・何か尋常じゃ無い。運命的なもので結びついているんじゃない?角南クンは勿論、りんクンを求めるけど、りんクンも長続きはしないと考えて角南クンを疑って牽制しながらも心の底では求めているのじゃあ・・・
 これって・・・凄いわ!男子一生の契りよ!このまま一過性の恋愛として平穏に過ぎて終わってしまうなんて嫌!この二人にはそれは無い!絶対!
 きっと求め続ける方の角南クンにとって試練じみたことが待ってるんじゃない?角南クンの愛がホントか、これは見物(みもの)よ!

 わたいは彼らの交合の喘ぎを子守歌にして寝てしまった。

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