《MUMEI》
6月5日 日曜
ふあ・・・今午前1時。りんクンは出かけたまま昨日は戻ってこなかった。わたいは寝床に入った。
・・・ゆっくりと階段を登る音!音を出さないようにしているが、古びた鉄の階段の軋む音にわたいは目が醒めた。りんクンかしら・・・まだ午前4時だ。かちゃりとドアのノブを回す音。
さあ!わたいは俄然と頭が冴えた!あの調子じゃ、りんクンはかなり頭に来ているはず。案の定、壁から聞こえる話し声が段々と大きくなった!
「・・・俺たち男同士だろ!・・・子供産めるわけ無いし、今にお互いに邪魔になる。もうここらへんが限度だろ!」
一瞬静寂。ああ・・・これで終わってしまうの?
突然大声がした!
「いいか!戻ってこい!」
やった!角南クン、がんばれ!・・・でも強制はりんクンに通じるか?
わたいは角南クンがぐいとりんクンを抱きしめ熱いキスをして引き留める光景を頭の中で描いた。(ああ・・・やっぱり愛してくれてるんだね)・・・なんちゃって、りんクンがうっとりして。
あにはからんや、バタンとドアの閉まる音。かんかんと階段を降り、足早に去って行く・・・現実は厳しい・・・
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