《MUMEI》

ドラミは会話の内容を聞き取ろうと、音声のボリュームを上げた。



しかし――……。



いくらボリュームを上げても、何も聴こえて来なかった…。


スネオは電話の相手の言葉を一方的に聞いているだけだったのだ。



「スネオさん、いったい誰と電話してるの?」


ドラミは電話の相手を探ろうと、もう1台のスパイ衛星の映像を切り替えた。


モニターに、しずかの姿が映し出される。


しずかは、大きな買い物袋を二つ抱えて、家のインターホンを鳴らそうとしているところだった。


しずかの両手は塞がっていて、携帯電話など持っていない――…。



「(スネオの電話の相手は)しずかさんじゃないわ…。」

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