《MUMEI》

 








「 ぁあ ア…… ア」

喉から声が泡のように浮かんでは消えた。
こんなのは、今まで知らなかった。
直接、体温が伝わり、それにより身体から張り裂けそうな鼓動は七生の両腕で抑えられている。

「凄い、じろー……」

蒸し暑さで汗が肌を滑り落ちる。
俺が七生を感じているように七生も俺を感じているに違いない。
七生の声が、吐息が耳を掠める度に抑え切れ無い衝動が駆け巡った。


「あ…… 待って、 待って……」

留まる所か、加速する勢いだ。


「――――――ムリッ……」



「――――――アッ、 アッ…………」

内股にじんわり拡がってゆく七生の熱

溶けて落ちる熱

冷めない熱




「ごめん、悦かったよ……」

七生がヨレて動けない俺に上着を着せてくれる。

「……謝るな馬鹿……」

なんだか、こっちが悪いみたいじゃないか。

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