《MUMEI》

◆◇◆

「あれ、姫、その手首‥」

「‥?」

 枝先に咲き誇る花に触れようと手を伸ばした刹那、風牙に示され、夜桜は手首に目を向けた。

「‥っ?」

痣のようだ。

「‥‥‥!」

袖を捲ると、右の手首から腕の半分辺りまでそれが広がっているのが分かった。

 どことなく、何かの模様のようにも見える。

(‥何だ‥?)

 夜桜はふと、毎夜うなされ続けている夢の事を思い出す。

(まさか‥)

 その時、僅かに痣が疼いたように感じた。

◆◇◆

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