《MUMEI》
第三十二話:突入
 快達がブラッド本社についたのは、夢乃達が突入した二十分後だった。
 火の手が上がっているあたり、すっかり流れはこっちのものになっている。

「さすが夢乃さんチーム!
 派手に荒らしてくれてる!」

 白真は感心の声を上げた。
 手際の良さ、確実なバックアップ、どちらもこなせるチームは掃除屋界ではほんの一握りだ。
 その手本になるのが夢乃チームだろう、全く隙という隙が感じられない。

「当たり前だ。うちでも一・二を争うチームなんだ。
 失敗するほうがおかしい」
「だけど早く一戦交えたいよ」

 白真がそう言う気持ちは快にもわかる。
 事実、さっきから快も魔力のブレがある。
 しかし、まだ自分達が出るべきではないことはわかっていた。
 ブラッド本社の光がすべて落とされた後に突入する手筈だ。
 闇にまぎれたほうが氷堂尊氏の下まで早くいける。

「あと十秒・・・・」

 修がボソリとつぶやいた。
 それが近づくたびに鼓動がバクバクしてくる。
 しかしそれは恐れじゃない。

「いくぞ!!」

 電気がいっせいに落ちた!
 四人はバラバラになり突入する!

「どけぇ!!」
「ぐあっ!!」

 消火活動に当たっていた社員達を快は次々と気絶させていく。
 それに気づいた者はすぐに応対しようとしたが、
 快の速さについていけるものなどいやしない!

「幹部達を終結させろ! TEAMの本隊が突入してきた!!」

 隊長格の男が指示を出したが、

「寝てろ」

 修が男の首を打ち気絶させる。

「幹部級は今度こそ俺が倒す。
 昔の借りがあるんでね」

 そう告げて修は本社に突入した。
 目指す場所は一つだけ。
 八年前、自分達を殺そうとしたあいつらのもと。
 今なら対等、いや、それ以上に戦える!

「そういうことだ。さっきから尾けてるんだろ。猿柿さんよ」

 修は後ろを振り返る。
 そして闇の中から猿柿は現れた。

「ほう、俺を覚えていたのか。随分でかくなったな、クソガキ」

 オレンジ頭と体格のよさ、そして怪力が自慢だというところは変わっていない。
 八年前は自分の父親に恐れを抱いていた男は、今はその息子と対峙している。
 それも一片の恐怖もなくだ。

「ああ、八年前の仕返しをしにきた。今度は俺の剣の前にくたばれ!」

 戦いは始まったのだ・・・・

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