《MUMEI》
第三十三話:修VS猿柿
 今まで負けた相手は快と白真、そして自分の父親。
 戦ったことはないが、TEAMの幹部達にも勝つことは出来ないだろう。
 しかし、まだそれは認められる相手だとしても、
 この目の前にいる男に負けたくはなかった。

「時枝脩三の息子がどこまで強くなったか・・・・」

 猿柿は相変わらず修を弱者としか見ていない。
 だが、それも仕方のないことだ。
 掃除屋界で常に騒がれているのは快や白真。
 自分はそのおまけみたいなものだ。
 しかし、それはそれでよかった。
 強くなっていることだけ分かれば・・・・

「強くはなってるさ。
 どんな馬鹿でも、体格がでかくなればそれなりの攻撃力を得ることができる。
 八年もあればなおさらだ」

 抜いた剣に水が取り巻く。
 修の魔力タイプは「水」。
 自分の父親からその遺伝はすっかり受け継いでいるらしい。
 それだけは修も感謝していた。

「ほう、時枝脩三と同じか。
 だが、威力は比べ物にならんな」
「・・・・なめんなよ」

 その瞬間、二人の力が激突した!
 パワー自慢の猿柿はいとも簡単に修の剣を受ける!

「甘いわひよっこが!!」

 寸鉄が空間から現れ修の頭部を狙ったが、修は回避し高く飛び上がると、

「時雨!!」

 水の矢が猿柿に集中打を浴びせた。

「・・・・きかんな」
「だろうよ」

 まるでその反応を読んでいたかのように、修は猿柿の背後に回りこみ、

「水波動砲!!!」
「ぐうっ!!!」

 強力な水の砲弾を撃ち込む!

「くそ・・・・!!」

 立ち上がろうとした。しかし、動けない。
 何も自分の体にされたことなど何もないのにだ。

「なさけねぇ、俺はこんなやつに負けたのか」

 修の声が静かに聞こえる。
 そして猿柿の目に映ったものは巨大な津波・・・・

「なっ!」

 八年前と同じ、いやそれ以上の波の高さだ!

「お前は俺に威圧された。
 だから動けないだけだ」
「馬鹿な!」

 声は出るのに体だけ動かないことなどあるというのか!
 しかし、足はガクガクと震えている。

「今度は俺の名に恐怖しろ」

 そして放たれる巨大な津波。
 叫び声も聞こえることなく、猿柿は飲み込まれたのだった・・・・

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