《MUMEI》 最悪の事態(お前、声でけえよ!) 守の口を塞ぎたかったが、普通が邪魔してできなかった。 俺は、恐る恐る高山を振り返った。 …? 珍しく、呆然としている。 「なぁー、祐也。本当か?」 「…本当、だよ。偶然会った」 俺は守にもう一度偶然を強調した。 「そっか! 二人、今日コーチに来てるんだ! 行こうぜ!」 (そうだった…) 俺は、以前二人がサッカー部に時々顔を出していると、聞いていた。 屋代さんがエースで、仲村さんが補欠だった頃 吾妻高校サッカー部は、一度だけ県大会準優勝という偉業を成し遂げていた。 …今は、地区大会優勝も出来ないが。 「あ、あの!」 グラウンドに向かう俺達に、高山が声をかけてきた。 (何だ?) さっきから、いつものキングらしくない。 「は、はい?」 守が、緊張しながら返事をする。 「僕も、一緒に行って、いい、ですか?」 「喜んで!」 (それは違うだろう) 俺は心の中で守にツッコミを入れた。 「ありがとう」 そして、俺達は、この非常に目立つキングと一緒にグラウンドに向かった。 高山がおかしい理由はすぐにわかった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |