《MUMEI》
帰宅
(や、やっと着いた〜)


アパートの鍵を開け、ドアを開けた俺は、ドアを閉めた時点で力尽きていた。


あの後。


俺は、表向き、両親は死んだ事になっていて、親戚も遠くに住んでいる事になっているから、その事情を知っている高山から、自宅に来ないかと誘われてしまった。


(…普通は、断れないよな)

俺は、高山の大人版のような麗しい父親と、小柄な母親のいる家に招かれてしまった。


(さすが、次期院長様と看護婦長の家だな…)


そう思わずにはいられない、大豪邸だった。


『いっぱい食べてね』


並べられた食事も豪華だった。


『たくさんお食べ』


…昔を思い出してしまった。


(…っ…)


慌ててトイレに駆け込み…

高山家で食べた物を全部、吐いた。


『協力してくれないかな?僕と、希さんの事』


(誰がっ…するかよ)


ジャー


トイレの水を流す。


息を整えてから、洗面所に移動し、うがいをした。


『俺が協力しなくても、高山君なら大丈夫だよ』


俺は、普通にそう言って高山を拒絶した。


携帯の電源を入れると、忍から報告を催促するメールが来ていた。


俺は、渋々最悪な一日を報告した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫