《MUMEI》
委員会
翌日。


「何で!?」


教室内に津田さんの大声が響き渡った。


原因は、俺と拓磨の席替えだった。


「あ〜、津田。田中は腹が弱いから、仕方ないんだ。とにかく、座れ」


既に俺達から事情を聞いていた担任が説明した。


津田さんは、渋々着席した。


今日はまだ授業は無い。


午前中は、始業式とホームルーム。


午後は、部活の説明会があった。


始業式で、津田さんに皆の視線が注目したのは言うまでもなく


「じゃあ、学級委員は津田で」


これも、クラス全員が納得した。


俺は、津田さんに副委員に指名されるのを恐れ、自ら立候補した。


皆が、面倒だと嫌がる図書委員に。


本の貸出しや返却を担当する図書当番は、昼休みが潰れるし、年に数回ある広い図書室の整理は、放課後が潰れる。


その上、今年からは、様々な施設に朗読ボランティアに行かなければならないらしく…


「じゃあ、図書委員は、男子は田中で」


担任の言葉に、津田さん以外の全員が納得した。


(良かった、民主主義で)


俺は密かに、クイーンの独裁主義だったらどうしようかと心配していた。

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