《MUMEI》
祐先輩の相手
午後の部活説明会は、体育館で行われる。


第一部が、運動系。


休憩をはさんで、第二部が文化系の説明だった。


仲村さんと屋代さんが言っていた通り、各部とも、気合いが入っていた。


「あの先輩、可愛くね〜?」

「俺、サッカー部入る!」

そう言って周りの男が注目していたのは、もちろん、希先輩だった。


「甘いよな〜、あいつら」

「「な〜」」


(確かに)


俺と、守達三人は知っていた。


希先輩の、サッカーにかける情熱を。


希先輩は、黙っていればおしとやかな美少女に見えるが、グラウンドではサボろうとする奴や中途半端な奴には容赦なかった。


更に、紹介は続く。


(…ん?あれ…)


他の部に比べると、極端に人数の少ない空手部。


それもそのはず。


部になったのは、今年からだと言う。


一人だけ制服を着ていた二年生の部長ー葛西雅樹(かさいまさき)先輩に、俺は見覚えがあった。


忘れられるはずも無かった。


葛西先輩は…個室で祐先輩とヤッていた男だったから。


しかし、空手着で木の板を割る部員達の中に、祐先輩の姿は無かった。


そして、休憩を挟み、文化系の部活の説明が始まった。

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