《MUMEI》

「――オマエも…





俺のこと見てねーだろ…」




「―――――」






潮崎は真っ直ぐに玄関に向かう。







「あんな奴…あんな奴ばっかどうして!」




頭ん中が熱い






呼吸がままならない…








この感覚はあの時に似ている…






俺は










また繰り返すのか?





















「はぁ…、はぁ…
―――






はぁ…――は…」






カラン……







「―――くっ……は…――――……」






ドスン…








ガシャン…









――崩れて落ちる躰。






投げ出されるバッグとパソコン。










俺の手には









―――鮮やかな血









「オマエが悪いんだ、オマエが…、
あんな奴に関わるから、
―――――
死ねよ」








―――キモチがいい。






惇から大切なモノを奪ってやった。






――まぁ…、






当然?








だって仁の事いつまでも渡してくれないんだから。






これで俺と惇は同罪。







フェアな立場になっただけのこと……。








「じゃあね、もう一生会わないだろうけどさ、ばいばい」








―――バタン










俺が逆にマンションを出て行く。









土砂降りの雨の中…







俺はゆっくりとホテルに向かって歩き出した。

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