《MUMEI》

「城島、今のは無理に行かなくても良かっただろ。」


「今のは無理に?


…じゃあお前らの誰か一人でもシュートに行く気あったのかよ?」


「え!?」


「やる気のないお前たちより俺が行くべきだと思ったんだよ。」


「…」


再び東明ボール。


パスをもらった城島は、フェイクもかけずにロングシュート。


(何焦ってる?


うちのキーパーは、


ロングを止める鬼だよ?)


「バシッ!!」


シュートを止める村木。


「速攻!!」


関谷が走る。


短距離ならば椎名よりも関谷の方が速い。


「ナイッシュー!!」


7対0。


「さっきからこういう展開が多いな。」


(そうだ…


このスピードに拘った攻め方…


今までの赤高とは違う。


あのコーチの方針か…?)


「ん…?」


(あのコーチ…、確か…)


「そうだ!!黒田小太郎!!」


「?、先生なんすか急に?」


「赤高のベンチの男、赤高が県ベスト4になった時のスタメン選手だ!!」


「え!?」


「あの男がコーチだから、以前とはプレースタイルが違うのか…」


「どういうことすか?」


「黒田小太郎…、あの男の速攻に何点取られたことか…」

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