《MUMEI》
母の復讐、例えば・・・
翌日いつものように、自転車をこぐ。
今日も晴天だ。いつものように、奴に会う。
「おはよ」
「おぉ」
1日では、奴も、変わらない、いつもの会話。
少し違うのは、夏海が出す、オーラだ。意識してしまったようだ。
「部活ないから、帰り一緒に帰らない?」
奴は、誘ってきた。その日はたまたま、バイトは、休み。
〈たまたま休みだし、でも、断るかな、いやー、困った〉
沈黙
「ごめん、バイトあるから。無理かな。」
〈うわっ、事わっちゃった、その上、嘘、ついてしまったし・・・〉

「そっ」
一緒に帰るだけなら、いいか、とも、思いつつ、言いなおそうか考えているうちに、教室に到着してしまう。
「じゃ!」
「うぃ」
また、何もかわらない、1日、が始まった。
「やば、弁当、忘れた」
変わっていたのは、かばんに入れ忘れた、母お手製の、弁当だった。
その、様子をみてた、隣の洋子が
「洋子も、忘れたとき、帰って、怒鳴られたよ、
(お前の為だけの、弁当なのに、忘れるなんて、お前が、お母さんを何とも、思ってないのと同じだ!作ってもらっていることに、感謝しろ!)、ってね。なっちゃん も、おこられっかもね。」
「何?夏海、弁当忘れたん?昼、購買一緒にいこな、私は、持ってこんかったけん。でな、私の彼なんて、弁当忘れた翌日の弁当、日の丸弁当を、親が持たせたんよ、で、彼も開けてびっくりよ、夏海も明日、日の丸かもね、親の復讐は、ネチネチだけん」
後ろの千恵子が、からんできた。転勤族の生活からか、どこのなまりかわからないが、たまに出て、小さくてかわいい子である。かわいさは、由佳に匹敵するほどだ。
昼、チャイムと、同時に、購買へ、千恵子と行く。
普段、なかなか、行かない、昼の購買に向かう夏海は、親にお菓子を買ってもらう、小さな子供に還る、気持ちになった。

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