《MUMEI》

「早く攻めるぞ!!」


(城島…)


城島のオフェンスファール、そして無謀なロングシュート。


6、7点目の失点は明らかに彼のせいだった。


しかし、


そのプレーの根元は、


東明高校の選手たちにあった。


瀬川のプレーは、確かに良いプレーとは言えなかったかもしれない。


それでも選手たちは、


そのプレーに自分たちの不甲斐なさに気付かされた。


1対1を仕掛ける城島。


(またぁ!?)


前に出る沖。


(くそ!!


ダメだ!!


抜けない!!)


掴まれた腕。


手首しか動かない状況。


それでも城島は、


シュートを打とうとしていた。


目の前の1点を諦めようとはしなかった。


「こっちだ!!」


声がした。


瀬川だ。


(瀬川…)


「頼む!!」


必死のパス。


それは、


スピードもなく、
コントロールも悪く、
とても酷い物だった。


しかしそれでも、


瀬川はパスを取る。


日高が追い詰める。


「触んな!!」


クロが叫ぶ。


「ピー!!」


審判の笛が鳴る。


今度は日高のファールだ。


シュートモーション中にシューターに触ると、すぐにファールを取られる。


サイドシュートの場合は特に取られやすい。


そしてシュートモーション中のファールは、


7メートルだ。

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