《MUMEI》

◆◇◆

 ずしん。

「‥‥‥‥‥‥‥」

 痛みが強くなっている。

 詛は蔓状に伸び、皮膚の上を這うように広がって行く。

 じわじわと、華奢な体を蝕んで行く。

 それは枝分かれし首を伝い頬にまで侵蝕を始めていた。

 このままでは、呑まれてしまう。

「姫‥!」

 琥鬼達の叫ぶ声が、遠くから聞こえた。

 だが、目を開ける事も、声を出す事も、夜桜は出来なくなっていた。

(‥‥くそ‥‥っ‥)

 負けてたまるか。

 詛の餌食になど、なってたまるか。

「‥‥‥っ」

 自分で何とかするしかない。

 ずしん。

 再び、痣が疼く。

◆◇◆

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