《MUMEI》

前半が終わった。


スコアは32対4。


コートでは、赤高と海南のアップが始まっていた。


「またあいつだ!!」


「すげ〜!!」


注目を浴びていたのは、昨日と同じように赤高…


ではなかった。


「イョ〜ホゥ!!」


アップの最中にダンスを踊っている男。


「未來、シュートしろよ!!」


千葉が怒る。


踊りながら答える。


「俺にはこれが一番なんだよ。」


「全く…」


ため息混じりにそう言った。


「…あいつは何なんだ?」


疑問を覚えるクロ。


その疑問は会場内にいる全ての者が覚えていたのかもしれない。


「変なヤツがいるな。」


「ダンスが上手くてもハンドには関係ないだろ。」


「そうか?あの身軽さは貴重な存在だと思うぞ。」


「和也はさぁ〜、過大評価しすぎなんだよ。


なぁ?栄二?」


「え!?俺!?


ん〜…、まぁ確かに動きが速そうとは思うけど、ハンドボールはそれだけじゃないからな。」


「ホラ見ろ!!」


「ふぅ〜、何にしても試合を見てみないとな。」


「二ノ宮はどっちが勝つと思うんだ?」


「…海南かな。」


「桜井は?」


「海南。」


「そっか…」


聖龍高校、桜井、二ノ宮、阿久津の3人。


彼らもまた、赤高と海南の試合に注目していた。

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