《MUMEI》

「なあ……」

なんだか顎に両手を置いて、可愛いポーズを決めてきた。

「なんですかね?」

こちとら酒瓶を空になるまでに呑み切るのに必死だ。

「乙矢のグラスに薬を盛ったとか言ったら、怒る?」

「何……?!」

薬?



「俺を見て、どきどきしない?」

可愛いポーズのまま新しく酒を煽る。

確かに、是清を見て動悸が激しい。


「馬鹿みたい」

蔑みの言葉で失いかけた感覚を取り戻した。

「そんな馬鹿に乙矢は欲情しているんだ。」

瓶を口に含んだ後、酒を俺の口へ移された。



ぐるぐる、

とろみがついた熱と舌が

廻る。

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