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《MUMEI》 ◆◇◆ 「───────」 鶯の声がする。 注ぐ光が、微かに眩しい。 微風が心地よい。 （‥朝‥か‥‥？） 夜桜は薄目を開ける。 「目を覚ましたか」 すぐ傍らから声がした。 「彩貴‥」 彼の名を呼びつつ、夜桜はある事に気が付いた。 痛みが消えている。 袖を捲ってみると、あの痣は跡形もなくなっていた。 （詛から‥逃れたのか‥） 「狐叉達はどうした‥？」 夜桜が尋ねると、体調に関わると悪いだろうから、と夜桜を気遣い今は離れているのだと彩貴は言った。 「そうか──」 夜桜は体を起こしつつ、ふと、外に目をやる。 はらり、と一ひらの花びらが部屋の中に舞い込んだ。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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