《MUMEI》

海南ボール。


「オフェンス1本!!」


海南の応援陣も凄い…


見えない重圧がのし掛かる。


「1本取るぞ!!」


「おす!!」


海南最初のプレーは…


会場の度肝を抜く。


千葉にパスが回った時だった。


「えっ…?」


ボールを放り投げる千葉。


そのパスは、


優しく、


宙を舞う。


(何だ?)


全員がわからずにいた…


クロを除いて。


「関谷!!」


「え!?」


関谷が後ろを向く。


自分のマークマンであった男の姿がない。


その男は、


ボールと同じように宙を舞っていた。


そしてボールと男が、


宙で一つになる。


(初っぱなからスカイかよ…)


「ナイッシュー!!」


開始40秒。


先取点海南。


「なんだ!?あいつ!?」


「すげ〜飛んだぞ!?」


(あんなに高く飛ぶ人間初めて見た…)


「…ただのダンスバカじゃなかったみたいだな。」


そう…


初得点を決めたこの男。


会場でブレイクダンスを踊っていた男である。


彼の名は一ノ瀬未來。


ハンドボールを始めて…


わずか3日。

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