《MUMEI》 第三十四話:平々凡々片岡翔。平々凡々の成績に容姿。 得意科目は数学と体育。 特に目立ったこともないが友人達からのの信頼は厚い。 そんな人物が今、世間を賑わしている「TEAM」の篠原快達と隊を組んでいることが疑問に思われることもしばしば。 だが、そんな彼だからこそやれることもがある。 それは任務前日のこと・・・・ 「向こうの幹部に火の使い手がいる」 快はパサッとブラッドの幹部のリストを置いた。 そして向けられた視線は翔へのもの。 「間違いなく翔に当たるな」 「うん、俺もそう思う」 修と白真はうなずきあった。 「だろうな。翔が昔暴れた時、切裂といい風木霊といい、 しかも幹部とやりあったときも風魔法だろ。間違いなくお前が狙われる」 「なんか風しか能がないような言い方だな・・・・」 快の冷静な判断は当たっているだけにきつい。 「だが、ある意味チャンスだ。 お前が風しか使えないと思い込んでいたら、 少なくとも風タイプだと思っていれば、必ず相手に隙ができる。頼んだぜ、翔」 そして現在に至るのある・・・・ 「快の言うとおりだよ、まったく・・・・」 翔は有能な隊長に改めて感心するのだった。 目の前にいる女は火使いの幹部だったのだから。 確か名前は・・・忘れているが・・・・ 「いらっしゃい、ぼうや」 茶髪のロングヘアーに真っ赤な口紅をつけた売れないキャバクラ嬢。 翔の第一印象はまさにそれだった。 甘ったるい声はしているものの、性格はどう見てもどぎつそうな女だ。 顔で分かるというのはあながち嘘ではないらしい。 「・・・・ずいぶん老けたおばさんだな。バスター引退した方が良くないか?」 「残念。夢乃より若いから心配いらないわ」 子供の挑発という手には引っかからないらしいが、 「だけど行き遅れだろ」 的を得ていた。 「・・・・失礼な子。坊やのバスタータイプは?」 「自然系だな、一応」 あえて翔はそう答えた。 バスターにも大きく四つに分類される。 もっともスタンダードなのが武器を使う体術系。換装士もこれに入る。 次に召喚系。さまざまなものを呼び出し戦うもの。快がまさにこのタイプだ。 そして治療系。戦闘より回復にまわるバスター。 バスター界でも少ないタイプである。 最後が自然系。この世の自然というものを操るタイプだ。 ただし、この中でさらに火や水といったように分かれているのである。 「そう。だったら私と同じね。だけど水タイプではないでしょう?」 「・・・・知ってるんじゃねぇか」 翔は臨戦態勢を整え始める。 それに女は笑みをうかべ、 「当たり前。相手の弱点に合わせた配置はされてる。 まあ、猿柿はやられたみたいだけど、残りのメンバーはそうはいかない」 そして女は手に炎を練り出し始めると、 「自己紹介はしておくわ。私は長野桃子」 「そうだったな。俺は片岡翔だ」 そして火と風は激突する。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |