《MUMEI》
第三十六話:要注意人物
「夢乃が侵入しただけじゃないだと!」

 ブラッドの一幹部が下っ端の社員を怒鳴りつける!

「はい! 夢乃達はおとり!
 本隊は篠原快のチームです!」
「あのガキどもか!」

 最近噂になっている快達の活躍は、ブラッド幹部の中でも要注意人物に指定されるものだった。
 そして、その一人は気配もなく後ろに現れたのである。

「そのとおりです、人生の先輩」
「なっ!」

 その瞬間、ブラッドの一幹部の喉元にナイフが突きつけられる!

「こんばんは。掃除屋「TEAM」です。 幹部達の部屋に案内していただけますか?」

 その声はあくまでも穏やか。だが、殺気は本物だ!
 さすがに情報を提供するしかなくなったが、

「その必要はないぜ」

 一発の銃弾が白真を狙ったと同時に、一幹部の頭を打ち抜いた!

「・・・・あぶないねぇ。お仲間さん殺してどうするんだ?」

 白真は軽々とそれを避けたが、一幹部の命は途切れていた。
 そして向けられた視線の先に黒いスーツを着た切れ長の目をした男が立っていた。
 今回、ブラッドの幹部の中でも要注意人物とされていた男が・・・・

「お前の立ち位置が悪い。
 それに人質にとられるくらいなら死ねというのもうちの方針でな」

 TEAMでは考えられない方針。
 しかし、取り乱すこともなく白真は答えた。

「なるほど、さすがは史上最悪組織だ」

 そして白真は臨戦状態に入り始める。

「どうする? ここから逃げ出した方がいいんじゃないか?」
「冗談だろ。こっちも命かけてきてるんだぜ?簡単に・・・・」

 白真の姿がその場から消え、

「引き下がれるかよ!」

 腰に刺していた刀を抜き斬りかかる!

「剣士か。何の能力も持たないタイプだな」

 数撃の打ち合いが続く。
 白真の力はなかなかのものだが、大の大人相手ではまだ力は幼いもの。
 すぐに力では敵わないと分かれば違う攻撃を考えるのもプロ。
 白真は一定の距離を保つと、

「残念。俺達は「TEAM」だと言っただろう?」
 
 手に青白い光が宿る。
 そして現れた銀の刃に青い柄の剣。

「俺も快ちゃんと同じ隊長クラスの実力者だ。
 ちゃんと勉強もしてるんだぜ?
 換装士の海原探さんよ!」

 白真はにやりと笑う。

「・・・・そうか、ならば全力で戦うとしよう」

 海原は空間から大剣を取り出す。
 それに白真は剣士の血が騒ぐのか、ひどくワクワクしていたのだった。

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