《MUMEI》
強引な決定
「…で、何の用?」


あまりに目立ち過ぎるから、俺達は店長に頭を下げて、裏口付近に移動していた。


「あの、この前の話なんだけど…」


急に高山の口調が弱々しくなる


「希先輩の事?」


俺の言葉に、高山は赤くなった。


「この前も言ったけど、俺の協力が無くたって…」


「頼むよ!初めてなんだ」

「は?」


初めて?


(何が?)


俺は、高山の言葉の意味がわからず、首を傾げた。


「実は、初めて希さんが休日会ってくれるって言ってくれたんだ。

…いつもは部活が忙しいって断られたのに」


「良かったじゃないか」


(俺の協力無くたって、うまくやってんじゃん)


俺は高山に笑顔を向けた。

「い、いや…あの…。本当に、悪いとは思ったんだけど…」


「?」


高山の目が泳ぎ始めた。


「あの、怒らないで、聞いてくれるかい?」


「何だい?」


普通、怒りたくても、キングは怒れない。


しかし…さすがに、…


「何勝手に決めてんだよ!」


高山の言葉に、俺は、…キレた。


高山は、希先輩と…


今度の週末、俺のアパートに行く事を、俺の許可なく決めてしまっていたのだ。

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