《MUMEI》 三十一夜 七尾の変化◆◇◆ 「夜桜」 「‥?」 「昨日‥お前を介抱して此処まで連れて来た女に‥面識はあるか」 彩貴の問いに、夜桜は苦笑した。 「そうか、お前は気が付いていなかったのだな」 どういう意味だ、と言いたげに、彩貴は怪訝な表情をする。 相変わらず苦笑を浮かべたまま、夜桜は天空を仰ぐようにしながら答えた。 「あの女は‥‥狐叉だ」 「狐叉‥?」 彼が信じ難い、と思うのも無理はない。 狐叉の変化(へんげ)など、今まで一度たりとも目の当たりにした事はなかったのだから。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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