《MUMEI》 キングの土下座「ごめん! でも、頼むよ! この通りだ!」 高山は最初俺の前で手を合わせた。 「悪いけど、断る」 (冗談じゃない) 「頼むよ!」 今度は、深々と頭を下げられた。 「…ごめん、無理」 (絶対嫌だ) すると、高山は… 「うわぁ? 何してんだ! やめろよ!」 「お願いします!」 何と、あのキングが、普通の俺に向かって、土下座したのだ。 「制服汚れるだろ! 立てよ!」 「お願いします!」 (目立つんだよ!お前は。店長に見られたら、どうするんだ!) カップルは既に帰っており、今は店長が一人でレジに立っていた。 俺は、忙しくなったら声をかけるからと店長に言われていた。 店長は、いい人だが口が軽く… 最悪な事に、俺と高山と同い年の娘がいた。 店長は、一目で高山が『東のキング』だとわかった。 もし、この場を目撃されて それが娘に伝わったら… そこから、どれだけ話が拡大するか、考え、俺は寒気がした。 「いいから立てよ!」 「アパート遊びに来てもいいって言われるまで立たない!」 (あ〜もう!) 「わかった、わかったから立て!」 俺は叫んだ 前へ |次へ |
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