《MUMEI》 「お前の言葉は刃物みたいに切り付ける。」 昭一郎は僅かに寒気がしたのか、身震いをする。 「俺が、昭一郎を傷付けたからだろ? 俺がレイを愛してたのは母親みたいだったからだ。」 構って欲しかった。 俺だけを見ていて欲しかった。 「昭一郎を名前で呼ぶのは好きだからだよ。 会ったら聞こうと思っていたんだ。 俺は何度か昭一郎を殺したかったよ、昭一郎は俺を殺したかった?」 俺はレイを取り上げられて悔しかった。 まだ、昭一郎を好きだと気付けなかった頃だ。 「嬉しかったよ。」 昭一郎は口の端を歪ませた。 前へ |次へ |
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