《MUMEI》
図書委員
「あ、田中君」


「希先輩?」


(何でここに?)


その日は、初めての委員会で、俺は図書室に来ていた。


「先輩も、図書委員なんですか?」


「うん」


正直、意外だった。


希先輩の外見からすれば、似合うが、図書委員は忙しいから、運動部員は希先輩しかいなかったから。


「部活、大丈夫なんですか?」


「いいの。本、好きだから」


希先輩は笑顔でそう言って、席に着いた。


俺も、自分の席に座る。


委員長から、図書当番の順番のプリントが配られ、簡単な説明があった後


「では、朗読ボランティアの施設を決めます」


委員長の言葉に、副委員長が新たなプリントを配った。


そこには、保育園・幼稚園・病院・老人ホームの名前が書かれていた。


「第一希望と第二希望を書いて、提出してください」

(え〜と…)


俺は、老人ホームと病院の名前を書いた。


理由は単純。


アパートから近い順だった。


集められた用紙は、即開票された。


老人ホームは人気が無いらしく、俺はあっさり決まって安心した。


「よろしくね、田中君」


老人ホームの班長は、希先輩だった。

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