《MUMEI》
恋する乙女
「じゃあ、二人は同じ委員会なんだ」


「うん」

「そうなの」


俺と希先輩の言葉に、高山は、悔しそうな表情を浮かべた。


今日は、日曜日。


高山が土下座までして頼み込んだ、希先輩と過ごす日で、二人は午前中から俺のアパートに来ていた。


希先輩と話していて、気付いた事がある。


…と言うか、何故高山や他の皆が気付かないのか、疑問だった。


「ねぇねぇ、今日、祐希は?」


「今日は仕事みたいです。でも、いつも夜には帰ってきてるみたいですよ」


希先輩の質問は、隣の屋代さんに関するものばかりだったから。


俺はすぐに理解した


希先輩がサッカー部のマネージャーになったのは、屋代さんが昔いたからで


俺のアパートに来たのも、俺の部屋と屋代さんの部屋の間取りが一緒で、俺から屋代さんの話が聞けるからで


面倒な図書委員になって老人ホームの朗読ボランティアの班長になったのは、屋代さんがそこで主任として働いているから、だったのだと。


ちなみに、屋代さんは、昔は三交代制勤務の上に、夜勤まであったらしいが、今は毎日決まった時間に出勤し、決まった時間に帰宅していた。

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