《MUMEI》 ◆◇◆ 翁と別れ、女姿の狐叉は立ち並ぶ店を順繰りに巡り歩いていた。 すると。 「───?」 どこからか、琵琶の音色が聞こえ始めた。 誘われるがまま、狐叉は祇園の町中へと足を運ぶ。 琵琶を奏でていたのは、黒髪を束ねた華奢な娘だった。 年は夜桜と同じ位。 どうやら、盲目であるらしい。 聴衆が群がり、優美な音に聞き惚れていた。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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