《MUMEI》
クローン・ノラ
ゲルド長官は ノラのクローンを造っていた。


彼のクローンを手に入れた時の為に。


五年前のノラ博士の状態のクローン・ノラ。

「ゲルド長官、何をすれば いいのですか?」
クローン・ノラは 事務的に 尋ねた。


「な〜に、大した事じゃない。時が来たら、ある言葉を 言って欲しいだけさ。それが全ての始まりだ。」


「ある言葉…?はい、ゲルド長官の お役に立てるのなら、喜んで。」

ゲルド長官に頭を下げる クローン・ノラ


「ふ…君にしか出来ない任務だ。任せたよ。」


「はい、分かりました。」


…もうすぐだ。もうすぐ 手に入る。


心の中で その時を待つ ゲルド長官。


その時は 直ぐ其処に 迫っていた。


一方〜

ノラ本人の処置を終えた 若いスタッフは…
自らの行いに 嫌悪感を露にしていた。


彼は この五年間 ノラを助ける為に 働いていた。やっと先日 目を覚ましたばかりなのに…まだ19歳の彼女の不幸を呪った。


あの男と 出会ったばかりに〜ゲルド長官。彼こそ 悪魔だ。


若いスタッフは ノラを前にして 力なく項垂れた。

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