《MUMEI》

「当て馬だったら承知しない。」

遊びなら許すが、徳和の為にだったら動かない。

「何を言っても無駄だよ。高ぶったのは俺しか鎮められないよ?」

是清は残りの酒を豪快に飲み込んだ。

「酔いに任せて……か。」

俺は薬を盛られて?

「素面かどうかはベッドで調べれば良いさ。」

意外に足取りはしっかりしていた。




    「ニャア」

アルが足先で唏く。
二郎が頭を掠める。
振り切るためにはどうすればいいだろう。

「……そうだな。」

俺の全ては二郎だけじゃないんだ。

姉さんに見付かった時点で手放したのだから。

似合いじゃないか。



何も無い者同士。

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