《MUMEI》

◆◇◆

「───────」

 夜桜達は、奏美の華奢な指先から紡ぎ出される音色に、暫し聴き惚れていた。

 その澄んだ響きは、彼女の心そのものであった。

 優しく、時に切なく。

 聴く者全てを魅了する力が、その音にはあった。

「奏美は琵琶が好きなんだなー」

 琥鬼が、にっこりと笑って言った。

 奏美は微かに頬を染め、嬉しそうに微笑んだ。

◆◇◆

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