《MUMEI》 迷子の・・「東口・・ってどこだよ」 看板も見当たらず、つい呟いてしまった一言だったが、どうやら聞かれていたようで、 「東口ならこっちだよ。」 と声をかけられた。 「へ?誰?」 目の前にはおてんばな感じの金髪の女の子が立っている。歳はそう変わらないだろう。手にはなにやら強そうな杖。 (誰?・・) 「誰かとはぐれた?」 「そうだけど・・なんで?」 「だって東口ってどこって言ってたし。」 得意気に笑っている。 「初めまして〜私は想花だよ〜よろしくね。」 笑いながら自己紹介を始める金髪の女の子。 「えっと・・狩月です。こちらこそよろしく想花さん・・でいいのかな?」 初対面の人間にいきなり自己紹介というのはエデンでは無いことで、困惑しながらとりあえず返事をするが、逆に変だったようで彼女は笑いを深くする。 「想花でいいよ、想花ちゃんでも可。なんなら想花姉さんでも・・」 彼女は次々と話題を変えながら話を展開させてゆく。 (よく喋るなぁ〜・・早く行かないと琴怒ってるだろうなぁ〜) 「で?君は東口に行くんだよね?って聞いてる??」 と確認するように首をかしげる。いきなり話が戻ったことに驚きながら急いでうなずくが、 「え・・あ。うん聞いてるよ。」 聞いていなかったのがバレていたようで軽くチョップを喰らった。 「も〜人の話はちゃんと聞きなよ?東口ならこっちだから着いてきてね」 彼女は狩月の先を歩き出しながら、町を案内してくれているようだが、飲食店系の紹介が多いのはきっと彼女の好みだろうと笑いながら隣を歩く。 「テレパス なにやってんだ?早く来い。」 そうやってしばらく歩いていたら琴から早く来いとのテレパス会話が入る。 「どしたの?」 狩月の前に出現した半透明のウィンドウに気が付き声をかける。当然、想花からは文面は見えない。 「いや・・早く来いって琴が・・」 「琴?君の知り合い?」 「まぁね。」 「へ〜、じゃ急ぎますか。」 そう言うと想花は手を握ってきた。 (うわぁやわらかい・・じゃなくて!!) 「へ・・?な・何?」 「レッツゴ〜テレポ〜」 そう言うと彼女はなにやら呪文の詠唱を始める。その直後彼女の足元に円形の図形が現れた。魔方陣と呼ばれているものだろうか?などと考えを巡らしているうちに体が浮き上がるような感覚が生じる。 「は?」 気がつくと街の外に出るための門が見えている。 「到着〜テレポ代5000E(エーテ)ね。」 目的地に着いたことを確認するとVっとポーズを決める想花。 「え?今のがテレポ?5000Eってそんなにお金持ってないんだけど・・」 ただいまの持ち金2000E 。真顔でそう答えたが即座に彼女は笑い始めた。 「冗談、冗談〜」 くすくす笑いながらポーズを解きそう言った。 〔想花様が友人登録を要請しました。受け入れますか?(YES)・(NO)〕 (YESでいいのかな?・・) 「YES押してよ〜友録しようよ。」 ね?ね?と詰め寄ってくる想花。 友人登録とは、「何処に居るのかを調べたりテレパスするのに使ったりするための登録でよくPTを組む人たちとするのが普通。」とマニュアルにあったのを思い出す。 混乱しながらもYESを押す狩月。 前へ |次へ |
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