《MUMEI》

後に残された二人
暫く呆然と座り込んだままで、だがすぐに立ち上がり家路へと着いていた
「……雪月、ひとつ頼んでもいいか?」
途中、李桂が徐に話す事を始め
雪月は脚を止めると何事かを問うてくる
「……役所に出向いて、あの通りを封鎖してもらってくれ」
あの通りとは、先程の場所の事で
何も手を打たずにおけば、近隣にも被害が及んでしまう危険性を示唆してやる
理解したらしい雪月は、頷くと踵を返しソコヘと向かい出していた
その背を見送り、だが帰宅する気に何となくなれなかった李桂は目的もなく辺りをふらつき始める
天気は、散歩には打って付けの晴天で
だがそれを疎ましいと感じてしまうのは、厄介事に巻き込まれた所為だと
李桂は憎々し気に舌を打ったのだった……

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