《MUMEI》
三十三夜 優美なる調べ
◆◇◆

「お前も聴きに来たのか」

「ああ」

 夜桜は答え、奏美の方を見る。

(楽しそうだな‥)

 琵琶弾きの娘は小さな妖達に囲まれ、実に楽しげに奏でている。

「お前に似ているな」

 彩貴が、ぽつりと呟いた。

 夜桜はきょとんとする。

(私に‥?)

 確かに、そんな気がしないでもない。

 妖達も、彼女にすっかり懐いているようだ。

 それを思い、夜桜は嬉しくなった。

◆◇◆

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