《MUMEI》
身体測定
翌日の放課後。


コンコンッ


「失礼しま…」


ガラッ


「いらっしゃい」


ピシャッ!


(あれ…? 幻覚か?)


俺は、改めて、自分の今いる場所と、これから入ろうとする場所を確認した。


(間違って無いよな?)


ガラッ!


「おい、何で閉めるんだ? 身体測定に来たんだろ?」

「何で、祐先輩がいるんですか?」


「俺、保健委員だもん。香織(かおり)ちゃん、今じっちゃん迎えに行ってるから、身長とか測っといてって頼まれた」


香織ちゃんは、ちゃん付けされるには、やや年上の、美人でもないベテラン保健医で


じっちゃんは、保健医の父親で、小さな診療所の医師だった。


(何でこの人に頼むかなぁ…)


俺は、渋々保健室に入った。


「え〜と、まず、身長だな。靴と靴下脱げよ」


言われた通り、靴と靴下を脱いだ俺は、身長計に姿勢を正して立った。


「お、父さんと一緒だ」


「…いくつですか?」


「169」


(また伸びたな…)


中三の三学期の俺の身長は167センチだった。


「次は、体重だな。ブレザー位は脱げよ。ネクタイもな」


言われた通り、ブレザーを脱ぎ、ネクタイも外してカゴに入れた。

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