《MUMEI》
普通じゃない数字
それから、体重を見た祐先輩は、俺が普通より軽い事に驚いていた。


「やっぱり栄養が足りないんじゃね〜?」


「大丈夫です」


「そ?じゃあ、次は座高ね」


座高を測ると、今度は普通より低い事に驚かれた。


(嫌だな)


普通じゃない数字が書き込まれるのは、不快だった。

「じゃあ、次は…」


「次はもう無いでしょう?」


俺は立ち上がった。


「いいじゃん、胸囲くらい…」


(よくない)


俺は、メジャーを握りしめている祐先輩を睨みつけた。


「男同士だし、胸見られたって減らないだろ?
それに、あの志貴が認めたいい身体、興味あるんだよね。

…測らせてよ」


「ちょっ…」


(お前の場合、男同士でも危ないんだよ!)


その時。


「お待たせ」


間一髪の所で保健医が医師と共に現れた。


その瞬間、パッと祐先輩は俺から離れたが、小さく舌打ちしていた。


「仲村君、もう部活行っていいわよ」


「はいはい」


名残惜しそうに、祐先輩は出ていった。


「さて、と」


保健医は、保健室に鍵をかけ、カーテンを引いた。


「保護者の方から事情は聞いてるわ。秘密は守るから、安心して」

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