《MUMEI》

◆◇◆

「それで‥彩貴さんは‥?」

「仕方無しに暫く様子を見ていたらしい。だが‥私が三つの時に‥やはりまた狐叉を追い出そうとした」

「それで‥」

「十三だった彩貴は才に目覚め、様々な術を使いこなす事が出来るようにっていた。‥彼は狐叉に呪縛をかけ、私から引き離した‥」

 その刹那、黙って聞き入っていた奏美が悲しげな表情をした。

 夜桜は、かつての記憶を思い出す。

 ──なにするの‥!? なんでこんなことするの‥!?

 ──こいつは妖だ。お前に災いをもたらす。

 ──やめて‥! じゅつをといてあげて‥!

 夜桜は抵抗したが、その夜は暫くの間狐叉から引き離されたままだった。

「‥‥‥‥‥‥」

「姫‥様‥?」

「あ‥ああ、すまん。続きを聞きたいか‥?」

 ご負担でなければ、と奏美が答えたので、夜桜は再び話し始めた。

◆◇◆

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