《MUMEI》
特異体質
表向き、俺に刺青がある理由は、俺がグレてた時に、かっこいいから彫ったという事になっていた。


だから、中三の中途半端な時期に転校したのだと。


忍の説明は、一応つじつまが合っていたから、保健医も納得していた。


ちなみに、今は反省して目立たないようにしているという設定になっていた。


「もしかして、…この事も、グレたのと関係ある?」

医師が帰り、俺の胸囲を測っていた保健医が質問してきた。


(何気に見てたな)


保健医は、俺の上半身をさりげなくチェックしていたようだ。


「上よりも、下の方が大変ですけどね」


おかげで、水着も着れないし、トイレも普通に使えなかった。


「そ、そうよね。でも…女としては、羨ましいかも」

「下もそうでも?」


俺の言う下は、下半身全体ではなく、ごく一部を示していた。


「そ、それは…困るわよね」


年甲斐もなく、保健医は真っ赤になっていた。


「じゃあ、俺は帰ります。ありがとうございました」

最後にネクタイをしめて、俺は頭を下げた。


「あ、うん。何かあったら相談にのるから」


(どうにもならないだろ)


俺は、頭を下げて鍵を開け、保健室を出た。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫