《MUMEI》
理想的な日々
それからの、俺は普通の日々を送っていた。


同級生の津田さんは、学級委員の仕事や父親が経営するショップのバイトが忙しいらしく、俺にはあまり絡んでこなかった。


何より津田さんは、毎日ふられてもめげない拓磨の猛アタックをかわすのに忙しかった。


委員会が同じだから、たまに希先輩とは会う事はあったが、希先輩と俺の関係は、普通の先輩と後輩の関係だった。


変態な祐先輩とは、委員会も違うし、意外と部活を真面目にする人だから、本当に廊下でたまにすれ違う程度だったし。


高山は、バイト先の店長の娘さん情報によると、一年なのに、生徒会役員になって忙しいらしいし。


おかげで俺は、理想的な普通の日々を送っていた。


得意科目は数学で、苦手科目は国語。


他の科目は、普通。


運動神経も、普通。


帰宅部で、コンビニでバイトしてて、一人暮らし。


四月が終わる頃。


俺に対する周囲の評価は、地味で目立たない外見に、中身・普通という理想的なものになっていた。


唯一気に入らないのは


あの高山一族と、妙に縁がある


という点だけだった。


それさえ無ければ、俺は至って普通な高校生だった。

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