《MUMEI》 10時に待ち合わせ……で、午後の十時です。 「こんばんーっス」 新種の挨拶で迎えられた。 「何?」 手に何か握らされた。 「線香花火。 合宿のとき風邪で寝てて何も出来なかっただろ?皆で花火してた時、くすねといた。」 「……どうしよう」 力が入らない。 七生に寄り掛かる。 「ん?」 「嬉しすぎる……」 ずっと、バンガローの外で聞こえていた騒音が羨ましかった。 次の日は皆、燃え尽きていて完全に乗り遅れたと思った。 花火のとき七生の声なんて人一倍煩くて…………それでもちゃんと俺のこと考えてくれていたんだ。 前へ |次へ |
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