《MUMEI》

(攻めきれない…)


赤高は誰1人として抜かせることはなかった。


「もしかしてこれも…?」


安本がクロに聞く。


「そうすよ。


よく気付きましたね。


ボール鬼効果です。」


ボール鬼での鬼の状況はオールコートマンツーでのディフェンスの状態に近い。


ひたすらこの練習を行ってきた赤高は、海南のマークから外れない。


(ただ問題はやっぱりスタミナだ…


毎日やっていたとはいえ10分〜20分程度…


どこまで持つか…)


ディフェンスの練習が疎かになっていた赤高。


しかし、オールコートマンツーの練習は、気付かぬ間に身に付いていたのだ。


「絶対抜かせないすよ!!」


(このチビ…


なんてしつこいディフェンスだ…


降りきれない…)


ボール鬼でひたすらクロを追っていた椎名。


スピードという点から見れば、クロは千葉よりもずっと上だ。


そのクロを追い続けた椎名にとって、千葉を抑えるのは容易であった。


「くそ!!」


振り切ろうと必死の千葉。


瞬間的に、意識がボールから遠退いていた。


「千葉!!」


「え!?」


振り切ることに必死でパスに気付かなかった。


「ルーズボールだ!!」


ボールを取ったのは…


ユキヒロ。


「速ッ攻〜!!」

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